私は幼い頃、父に「お話し」をしてもらって眠っていた時期がありました。
それは多分、父の適当な作り話だったのだが、ただ楽しかった事だけを覚えています。
しかし、大きくなってからも、父親から怪しい話を聞かされ続けると、若干摩擦を生じる事もあるようなのです。
先日みた映画「ビッグ フィッシュ」は、そんな摩擦が生じてしまった父と息子の話でした。
この物語では、父が病の床についてから、息子は父のホラ話の裏に隠れていた真実の一部に出会い、父の死の直前に和解します。
この映画に関しては内容はともかく、「ビッグ フィッシュ」という題名で、「逃がした魚は大きい」なんて言葉があるが、外国でも魚釣りにはホラ話がつきものなのか、と思ったものでした。
さて、書きたかったのはこの映画のことではなくて、これを見て思い出したもう一つの映画「ウォルター少年と夏の休日」のことです。
こちらは、少年と、その遠い親戚にあたる中年を通り越してしまった兄弟のストーリーで、テレビでも放映されたので観た方も多いと思います。
嘘だと思ってたら本当だった話!
注)以下、ネタバレだらけです!
【あらすじ】
少年、・ウォルター(=ハーレイ・j・オスメント)を育てる事にになる中年を過ぎてしまった二人の男(ロバート・デュバル、マイケル・ケイン)は、共に独身でえらくワイルドな人生を送っていて、少年に語る冒険談の数々はとてもそのまま信じられるようなものではありませんでした。
仕事もせず、金だけは持っているらしい二人の周囲の評判は、元銀行強盗だのマフィアだのと散々なものです。
実際、庭先のセールスマンにショットガンをぶっ放す乱暴者でした。
一方で、ぶちのめした町のチンピラ達を家に連れてきて、男はこうあれ、と説教をします。
少年はそんな二人の男らしさ、やさしさを見抜いて、身持ちの悪い母親(キーラ・セジウィック)の元を離れ、二人の下で暮らす事を選択します。
そんな黄金の日々もいずれ終わりが来るのです。
イラストレーターとして独立していたウォルターのもとに育ての親二人の訃報が届きます。(二人一緒の事故死でした。)
急いで戻った育った家に、もう一人の男が現れます。
事故のニュースを見て駆け付けたという男との出会いは、昔聞かされた冒険談が真実であったことを証明するものだったのです!
このラストシーンはもっと引っ張ってくれてもいいような気がするのですが、あっさり終わってしまいます。
ただ、そのせいか、とてもさっぱりとした後味が、いいです。
私にとっては、一種ファンタジーのような印象になって残っている映画なのです。
【感想】
ロバート・デュバルがカッコいいです!
町でチンピラの集団を一人で片付けてしまいますが、その一方で荷物を運んでいる途中で倒れて病院に担ぎ込まれてしまいます。
どんなに強くても静かにやって来る「老い」に漠然とした焦りを感じていた二人にとってウォルターが現れたことは救いになったのでしょう。
この映画の原題は「SECONDHAND LIONS」で、本物のライオン(二人が猟の獲物にするために一頭のライオンを買ったのですが、あまりにヨレヨレだったので、男の子がペットとして飼うことになリます)も登場します。
が、本当は二人の男のことを指しているのでしょう。LION ではなく LIONS となっているし。
良いネーミングだと思います。
見終わってから、改めてかみしめてみるとつくづくそう思えるのです。
邦題は似ても似つかぬものになってしまっていますが、まあ、「セコハン ライオン」では、… うけない …かな?
「ウォルター少年と夏の休日」の舞台となっている草原の中の一軒家。 なんだか絵本に出てきそうな雰囲気…。 |
もうひとつ、画面に映し出されるタイトルの文字・書体がアラビア文字風(?)なのですが、これが「風とライオン」という、ちょっと古い映画を思い出させるのです。
内容は違いますが古いタイプの男が主人公であることは共通しています。
「風とライオン」は舞台が北部アフリカなので、そういう書体に違和感はないのだが、ウォルター少年のほうは何故なのでしょうか?
できるものなら監督さんにその理由を尋ねてみたいものですね。
関連作品:アウトロー … ロバート・デュバル 出演
クレイジーハート … ロバート・デュバル 出演
2018.09. ................ 傑作映画館の目次ページへ